まるくんを連れていて、話しかけられることがあります。
忘れられない言葉があります。

「この子、いくらだったの?」

おもむろに値段を聞いてくる人。ずいぶんとマシになってきたけれど
ブームで、チワワは高価な犬種になりました。

そんな人にも躊躇なく私は答えます。

「捨て犬です」

今が幸せなのだから、別にどーだっていいじゃん、と思われるかもしれません。
偽善者やいい人を強調したいと誤解されるかもしれません。
適当にあしらえばいいのかもしれません。
それでも、私は隠しません。

「この犬は捨て犬で、私が里親になりました」

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保護時の まる (黄ばみはしばらくとれませんでした)



そう答えると

「まぁ!ラッキーね!チワワをタダでもらえたなんて!」

と言う人も多いです。確かにラッキー。

保健所等の施設にいるのは中型の、いわゆる「雑種」のイメージがあるようですが
ダックスフンドやチワワがずいぶんと増えてきているようです。
そんな話も、ついでに伝えます。
今まで 「犬を飼う=ペットショップで買う」手段しか知らなかった人が
「犬を飼う=ペットショップで買う or 保護犬を引き取る」というように、
手段が増えたらいいな、と思います。


今のまるくんは とてもかわいいです。
それでも、うちに来た時からこの状態だったワケではありません。
ラッキーのカゲには、ちょっとだけ努力もあるんだゾ。

狭いケージにトイレシーツの上で糞尿垂れ流し生活を続けていたと思われ、
衛生観念がまるでありませんでした。それゆえにおしっこの上で寝る、
うんこを踏む・・・すぐ体が汚れるし、洗っても長年のしみついた汚れは
洗っても拭いても ひと月以上落ちませんでした。

体に筋肉はなく、歩くこともままならない様子。極度の痩身。

そして、人を極端に 恐れる。

若い犬ならまだしも、ハッキリした年齢はわからないけど まるは老犬。

甘える、怒る、要求する、悲しむ・・・全ての感情のない まる に
感情を持ってもらう。

それから、歩くことを覚えてもらう。

ぶっちゃけ、これから先 長くはないであろう まる の人生を
一秒でも楽しくしたい。その一心でした。


「チワワってそんなもの?変な歩き方ね」

そう言われたこともありました。
まる は長い間狭いケージにいた(と思われる)ので
首輪をつける練習から始めなくてはいけませんでした。
「首輪、イヤだ!」と抵抗するならまだしも、震えながらジッと耐えているその姿。
人間は怖くないよ~、お散歩は怖くないよ~、でもソッとしておくね。
色々な要素をうまくバランスとるのが難しい時期でした。
それからリードをつけて、歩く練習。
最初は1歩 あるいただけでも 大喜びでした。

そんなまるが、人並みに歩けるようになったのですが
やはり他の人から見たらおぼつかない歩き方なのでしょう。
でも私はまるの ひょこひょこ 歩く姿も大好き。


昨日、私は誕生日を迎えました。
昨年は 生きてきて、一番「楽(ラク)」な一年でした。
明日食べるものにも困らず、誰に責められることもなく。
夢中になれることもあり、大切な犬たちとの毎日。

そしてまるとの出会い。

いびきをかいて寝ている まる を見ると、自分がこの世に生まれてきたこと、
ムダではなかったのだなぁ、と思えるようになりました。
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まるについて、話をした時に言ってもらえた、一番うれしい言葉。

「よかったねぇ、いい飼い主さんに出会えて」

真実は、まる のみぞ知る。

(もちろん、ぽち も同様に愛すべき、私の娘です。)


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